君と僕の歌が響く未来
「大きいステージに連れて行く」
これは≠MEの「君と僕の歌」という歌の歌詞の一部である。
この歌詞を聞いた時、震えた。
実質的にはまだデビューすらしていない彼女達強く断言したからだ。
彼女達の持ち歌として3曲目となる「君と僕の歌」のMVが公開されたのは2020年4月6日の事であった。前作のMVが公開されておよそ半年後と出来事である。なんせ単独でCDを出しておらず≠ME名義の楽曲はこの時点で2曲しかなかった為、=LOVEのニューシングルに新曲が収録されると発表された日から全てのオタクが期待を膨らませていた事であろう。
そうして発表されたのがこのMV。
【MV解禁 🎬】
— ≠ME_official (@Notequal_ME) 2020年4月6日
≠ME3曲目のオリジナルソング
「君と僕の歌」
ミュージックビデオが公式チャンネルにて公開となりました✨https://t.co/hO6CqYutYG
「君と僕の歌」は
4/29発売の=LOVE 7thシングル「CAMEO」のカップリングに収録されます!
どうぞお楽しみに💎#ノイミー
センターを務める冨田菜々風が黄色い風船を手放す所から始まる。穏やかなストリングスから徐々に勢いを増していくイントロはこれから始まる夢への物語に胸が躍っている様子を表しているかのようだった。
螺旋階段に散りばめられたメンバーを下から映す、どこか不思議な雰囲気を持つシーンと曲の展開にこの時点でグッと心を引き込まれたのは間違いない。
夢だったこの場所に立ってる
全て捨てて(今は)
戦うんだ挑むんだ
君がいて成り立つステージ
当たり前に(絶対)
思わない思えないよ
歌い出し、「夢だったこの場所に立ってる」からも分かるようにこの曲のスタート地点は「アイドルになるという夢を持っていた彼女達がアイドルとしてステージに立っている」という所から始まる。つまりこの曲の主人公であるメンバーは既に1つ夢を叶えた存在なのである。この地球で「夢を叶える」という経験が出来る人はどれくらいいるのだろうか?そんな彼女達は次にこう続ける。「全て捨てて今は戦うんだ 挑むんだ」と。
アイドルという存在はとても不思議な存在だ。昨日まで普通の存在だった少女達が一瞬にして環境が変わり、昨日までの「普通」を捨てなければならなくなる。そして今やアイドル戦国時代と呼ばれた時代も過ぎ、飽和状態とも言えるほどその数は多い。その決して楽とは言えない環境に挑むという強い姿勢が見て取れるこの歌詞、特に「挑むんだ」という表現が僕はとても好きである。
既に2フレーズだけで今主人公達がいる現状、そして姿勢をドラマチックに表現できる作詞家・指原莉乃の才能に改めて驚かされた。
Aメロが終わり、Bメロからは少しずつ彼女達の夢の全貌が明らかになっていく。
遠慮してちゃダメだ
輝き放つ
一番 背の高い
向日葵になりたいんだ
「一番背の高い向日葵になりたいんだ」
向日葵という花の花言葉には「憧れ」、「私はあなただけを見つめる」、「待っててね」といったものがある。
これらの言葉はこの後の歌詞に繋がるものがあり、聞き進めていく事でその意味をより強く実感させるのだ。
そしてサビへと展開は続く。
僕はここで歌う(ずっと)
見える笑顔
広がるコール
今を忘れない
僕は君を探す(ずっと)
だから見てて
離れないで
青春を創ろう
約束さ
大きいステージに連れて行く
感謝、決意、夢、そして約束が詰め込まれたサビ、
正直もっと詩的な方向に振り切れても良かったのではないか?と思う人もいるのかもしれない。それほどに今の気持ち、そしてこれからの気持ちがまっすぐ表現されているサビは彼女達の活動の姿勢をそのまま表しているかのようであった。
メンバーの中にはこのグループに加入する前に他のグループでアイドル活動していたメンバーもいる。そういった背景がある彼女達が「僕はここで歌う」と「ここ=≠MEとしてのステージ」でさらなる高みを目指す決意を歌う姿は「大きいステージに連れて行く」という歌詞にさらに重みが増す。
比較的前向きな一番と対照に二番では挫折しながらもそれでも前に進む彼女達の姿が投影される。
咲き誇る 花たち見つめて
嘆いた時(そっと)
慰めてくれたよね
優しさと強さを感じる
紡ぐ言葉(どれも)
大事にする心の奥
なかなか芽が出ずに
君を泣かせた
あの日の後悔を
忘れずに強くなる
君はそばにいてよ(ずっと)
すんごい雨で
立てなくても
怯まずに歌う
君はそこにいてよ(ずっと)
立ち止まりそうに
なった時に
Bダッシュできるから
今日のこと
何年経っても思い出す
挫折の中で描かれるのは君=ファンと僕=メンバーの支え合う姿。この2番の歌詞にこそ彼女達の強さが現れているのだ。
現在公開されている同曲のMV、DANCE&LIPver.というダンスシーンとリップシンクシーンのみにフォーカスしたMVを見ても分かるように、「何年経っても思い出す」という歌詞にはグループのロゴにも表現されているダイヤを描くような振付が与えられている。正直最初見た時にはダイヤを描いているという事に気づけなかった。鈍感め。フォロワーのオタクに教えてもらって気づいた時の衝撃は凄まじかった。気づけなかった自分に苛立ちを覚えオタクをやめてしまおうかとも思った。それは嘘。そういった振付と歌詞がリンクしている場面がこの曲は多く、振付を加えてこそ完全な物語が出来上がるのだ。
そして、いよいよ曲は佳境へと向かう。
強い風が(ビュンビュン)
吹いた時は(ちゃんと)
Ah 希望になって君を救う(絶対)
泣き顔なんて(ごめんね)
もうさせない(だから)
みんなの前で誓う
「大好きだ」
今日も届けたい もっとこの歌声響け
僕はここで歌う(ずっと)
出来上がった
青春を見て
きっと泣くだろう
僕は君を探す(ずっと)
今歌ってるこの青春は
「君と僕の歌」
約束さ大きいステージに連れて行くPromise…
Promise…
Promise…
≠MEというグループは姉的存在である=LOVEと比べるとアオハル的要素が強く感じられるグループの様に感じる。意図的か自然的なのかは分からないがそういった雰囲気を醸し出せるのも彼女達の才能であり、上手く姉的存在のグループと差別化出来ているのはプロデューサーの手腕だろう。
彼女達は曲の冒頭で「全て捨てて今は戦うんだ」と決意した。本来普通に生きていたら経験出来たであろう「青春」もそこには含まれていただろう。しかし彼女達は≠MEでしか経験出来ない自分達だけの「青春」を作り上げているのだ。今まさに。そして最後に再び強く約束する。「大きいステージに連れて行く」と。
この曲は単なる夢を歌っただけの曲ではない。
決意の歌であり、感謝の歌であり、そして何よりファンとメンバーの「約束」そのものなのである。
彼女達が目指す大きいステージとは直接的に言えば「東京ドーム」(インタビューなどでも多々語られている)なのだろう。ただ単に大きいステージというより彼女達が目指すのは「自分達にしか作れないステージ」という志しも見て取れる様な気がする。いわば「東京ドームで自分達にしか表現できないステージを開く」というのが彼女達の言う「大きいステージ」なのだろう。この曲の制作風景を追ったドキュメンタリー映像で多くのメンバーが口を揃えて言っていたのが「これは私達の事を歌った歌」だという事。このような共通意識が彼女達の中に存在している事がこれだけの説得力をこの曲に与えている。
グループが立つ現在地、過去に経験してきた様々な出来事、そして未来への期待と決意を込めたこの歌。アンセムになり得る、夢を歌った曲というものは他のアイドルにも存在するだろう。ただこの曲は他のそういった曲とは一線を画す様な、それ程に力強く完成度が高いものに仕上がっている。
正直まだ持ち歌が少なく新規へのアプローチ手段が限られている中、一番新規を取り込みやすい楽曲の3曲目にこういったメタ的な曲を持ってきたのは挑戦的でもある。実際こういった曲を歌われてもまだグループの事を良く知らない人には深くは刺さらないはずだ。ただ、それ程この曲は今歌うことに意義があるという事なのだ。今の彼女達が歌うからこそこの曲は最初の姿となりこれから成長していく中で歌い繋ぐ事でこの曲も共に成長していくのであろう。
少しMVの話になるが、このMVで彼女達を導く存在なのが風船である。MVの始まりは風船が飛んで行く所から始まる。
風船は一定の所まで行くと割れはするものの、一度飛んだら下がる事はない。上がり続けるのだ。
アイドルとしての新しい夢を見つけ、それを叶える約束をし飛び立った彼女達はもう下がる事を知らない、このまま上がり続ける。「君と僕の歌」が響く彼女達の青春が出来上がるのその未来まで……
と、ここまで散々ポエムっぽい文章を書いてきた訳ですがそんなポエムも吹き飛ばす、瞬間風速はAmazingなグループ「≠ME」をよろしくお願いします。配信ライブあります。
チケット販売がスタートしました!✨
— 永田 詩央里 (@nagata_shiori_) 2020年7月16日
9日後…わあああああ
とてもドキドキしている…
ノイミーのパフォーマンスをたくさんの方に観ていただきたいです!よろしくお願いします!!!!ぜひ!!!!!
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